誤出荷で大クレームが発生。このクレームをきっかけにスタッフ全員で話し合い行った改善とは?
グラニーレのコンセプトは、『女性が選ぶ美容・健康ショップ』
注文件数:3,000件/月、取扱アイテム:健康食品、健康グッズ他、SKU数:1,500~2,000点、倉庫の広さ:約15坪。配送はすべてゆうパックかゆうメールを利用。
(2017年11月10日時点)
グラニーレプラス楽天市場店: https://www.rakuten.ne.jp/gold/granire-plus/
グラニーレYahoo!ショッピング店: https://store.shopping.yahoo.co.jp/granire/
河尻 裕子 氏(奥左)
企画や販売を行うフロント業務を主に担当。バックヤードと連携してお客様に「このお店で買って良かった」と思っていただけることを一番に考えて運営。
松崎 安里 氏(奥右)
5店舗すべての「受注処理」とお客様対応の「カスタマー」を担当。フロントがいつでものびのびと仕事が出来るようにバックヤードで支える。
聞き手:伊藤 良 氏(手前)
株式会社トークロア 代表取締役。EC運営5年、EC物流10年の新規事業アドバイザー、実践参謀。今回の倉庫移転プロジェクトに参画。
伊藤
そして、2回目に訪問したのですが、ちょうどCROSSMALLさんが入った瞬間の僕の顔を捉えているというね。防犯カメラの犯罪者みたいな顔になっていますけどね。これはヤバイところに来てしまったと思っていました(笑)
伊藤
その時凄い頑張られていて、全部入れなきゃって感じですよね。広くなるって最初おっしゃっていたんですよね。
松崎
そうなんですよ。でも結局上から見ると(写真)何も解決していないっていうか。
伊藤
なるほど。横から見ても何も解決してないですよ(笑)
松崎
商品の上に空のダンボールがあるって、本当にまずい状態なんですよね。
伊藤
でも、今考えるとそういうふうにおっしゃられますけどね。当時は必死に引っ越し作業を終えられたっていうことですよね。
その時にですね、みんなでお昼食べながら、「とにかく一回ちょっと動かしますか」という話をして、左下にすごく綺麗な?図があると思うんですけども(笑)
伊藤
「こんな感じでやりましょう!」ということで、ちょっと動かしてみましょうと、とにかく物流は難しく考えすぎてしまうのですが、例えば、15坪、20坪、それぐらいの広さであれば、みんなで動かしてしまえば、意外とあっという間、、、だったとちょっと言ってもらっても良いですかね?
河尻
もう伊藤さんが3時間も汗かきながら一番、、、
伊藤
そう、で、あれっ、なんか匂いがみたいなことを言われながらね(笑)
本当にみなさんと一緒にね。
河尻
本当にそういうのが大事なんだなっていうのが、伊藤さんが身を持って教えてくれた感じがありますね。
伊藤
実際に動かしていただいて、約3時間。で、ここまで変われましたね。
伊藤
通路もちゃんと出来ましたね。
河尻
これちょっとわかりにくいんですけど、左の写真の前方の方がかなり広いスペースができてるんですね。これが終わったときに、他のスタッフに言われた言葉が、「どれだけ商品捨てたんですか?」って言われまして、一つも捨てていない、綺麗に置いただけでここまでになったんだよって。
伊藤
作業場がなかったんですよね。さっき「一筆書きでいきましょう」と、モノが入ってきたときに、入庫する場所がそもそもなかったですから、この辺をやりながら、右側の写真をご覧頂いても、だいぶダンボール棚が綺麗になってこられていて。
伊藤
そしてこの後ですかね、私が帰って、引っ越し後初のスーパーセールというところでしたが、いかがでしたか?
松崎
難しいところですね。
河尻
誤出荷が8件発生と書いてあるんですけども、これ私たちが売っている「炭八」っていう炭なんですが、これがちょうど梅雨の時期で湿気とかを吸ってくれる炭なので一番注文が入る時期だったんです。これを梱包するのに床でみんなで作業をしていて、忙しさのあまりWチェックをせずに出荷をしていたところ、物凄い大クレームが発生して、対応した松崎が思わず泣いてしまう事件がありました。
伊藤
松崎さんが?
松崎
クレームの内容としては、商品は合っているんですが、別々のお客様の明細書を入れてしまっていまして、同じ商品を買われた方が2名いらっしゃったんですけど、Aの方にBの方の明細書を送ってしまったんですね。そうすると、私たちの明細書はこの時、ご住所・お電話番号・お名前とあとはお支払い方法まで書いてありまして、お客様からしたらもうなんてことしてくれるんだってことで大クレームに繋がりまして。
ちょうどミーティングの最中に電話いただいたのですが、電話終わった後に、うちの社長の方から「大丈夫だった?」って一声かけられた途端にみんなの前で大泣きしてしまうほどかなり深刻なクレームだったんです。
起きては良くなかったことなんですけれど、これをきっかけにスタッフ全員が考えるきかっけになったかなっていうことがありました。
伊藤
それで、その大クレームがあって、その後みなさんで話し合われた感じですかね?
河尻
そのチェックの体制ですとか、梱包はこれで良いのかとか、配置も伊藤さんがって言ったらあれなんですけど、伊藤さんが動かされた配置だから間違いないって私たちちょっと思ってたんですね。まぁ、正解は無いと思うのですが、やっぱりプロの方がこの配置が良いんじゃないかっておっしゃって置かれたものなので、きっとこれが正しいんだろうっていうような考え方を当時はしてたので、その100%だと思っていた状態で、ここまで間違えてしまうということに対して初めて「おや?」っていうふうにみんなが思って、もうちょっと考えようかってなりましたね。
伊藤
なるほどありがとうございます!
なんかすごく不信感が芽生えちゃったみたいで(笑)
河尻
伊藤さんは悪くないんですけど(笑)
伊藤
いやいやとんでもない。
でも本当にね、仰る通りで一番商品に対して思い入れだったり詳しい方って実際にそれを販売されていらっしゃる方なので、例えば僕みたいな人間がね、ちょっと入ってそれなりには良くなるんです。
ただ、さっきの話じゃないですけどね、100%ではなかったというところで、それを、今日ちょっとお話を伺いたいなと思ってたんです。
実はここから自社での物流改善をものすごくスピードアップされて、どんどんどんどん進化をされて行ったんですよね。それで、その理由をちょっとお聞きしたかったのですが、これがきっかけになられたという感じでしょうかね?
河尻
そうですね、こんなクレームになってしまって、これはまずいだろと。誰が入れたとか分からないんですよ。そのミスっていうのは、みんなでやっていたので4〜5人ぐらいで、だけど結局謝ることになるのは1人っていうことになったときに、みんなが他人事と思ってはいけなくって。こういうことはあってはいけないことで、みんなが考えなければいけないことなので、ちゃんとミーティングで時間を取って、どうしたら無くなるのかということを考えようということになりましたね。
伊藤
今までそういうミーティングのようなものは無かったのですか?
松崎
何か問題が起きたときとか、クレームがあったときにみんなで話をしたことはありますが、定期的にそのようなミーティングをしたり、倉庫のミーティング、物流ミーティングというものはほぼやっていなかった状態ですね。
伊藤
なるほど、そういったしんどい思いをしながらも、こういうふうになっちゃいけないというような考え方の中で改善をスタートしたということですかね。
その後、これ実際に河尻さんが考えたことなんですよね?
河尻
そうですね。私と今日来ている主任の梅本と一緒に。こんな風にしたほうが良いかもしれないねっていう話も出ていたので、実際紙に書いてみて、動かしてみようかっていうふうになって、変えたんですね。
伊藤
なんで僕よりうまいんですかね?これね?
これ送られてきたときの僕の気持ちも考えてみてもらえたら(笑)
すごくうまく書かれているなと思いましてね。
河尻
普通だと思いますよ(笑)
伊藤
僕も普通に書きましたけどね(笑)
実際にここで、皆さんがチームで話し合いながら最適なレイアウトをもう一回やってみようと実行された。やっぱりね、これはなかなか出来ることではないと思います。
僕みたいな者が入ってつくったものに対して、否定してやることですからね。でもそれってすごく良いことで、それがすごく前向きな一歩だったんだろうなと感動しました。
伊藤
それで、実際その後驚くものが出てきましてですね。
「伊藤さん、ちょっと見てもらって良いですか?」ってですね、物流の改善のメモを書かれていたんですよね。これね、そのときのそのまま載せちゃって申し訳ないんですが。
実際にこれを書いてみようと思ったのはなぜだったんですか?
河尻
倉庫には、倉庫担当者が1人おりまして、彼がやりやすいように変えていくべきだって私は思っていて、最初人任せにしていたんですね。「倉庫のことは彼がやれば良いんじゃないか」って。彼が一番わかってるはずだからって思ってたんですけど、本人も「変わったら変わったなりにやるから良いですよ」って感じだったので、お互いの役割って何なのかっていうところからまず分かってもらおうと思いました。
例えば私がフロントの仕事ですごく良い商品を出して、それで梱包して届いたものが全然違うモノだったり、ぐちゃぐちゃだったりするとそれは台無しだよっていうことをいつも伝えているんですね。でも、なかなか伝わりにくいことだったので、一度紙に書いてみて、これが複写式になっているのはそういう意味があって、一枚は彼が持っていて、もう一枚は私が持っている。それで、これは期限とかも全部書いてあって、「こんな手順で何日の何時までにこれやろうよ」っていうことを話し合って進めていく方向にシフトしたときのものですね。
伊藤
なるほど、どういうことが課題なのか書いてみておられたので凄いなって思って。
実際にその彼とのやり取りのなかで、これはプラスになったんですか?
河尻
そうですね、頑張ってやってくれましたね。
伊藤
まず最初に正しいか正しくないかを書いておいて、ルールを決めて、そのルールすら変えて良いと思うんですよね、さっきの話じゃないですけど。
それで、まずそのルールを自分たちで作るというところがすごく成果の出たところじゃないかなと思っております。