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「ファンベース」③

2019.07.10

佐藤 尚之 氏 × 佐渡島 庸平 氏
『ファンベース』がテーマのトークセッション。

BACKYARDFES. 2018 GUEST TALK

Profile

BACKYARD FES.2018 テーマは『FAN』
ECのドキドキ感をリアルに感じるバックヤードが主役のイベント
2018.10.5-6

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GUEST TALK@BACKYARD FES.2018  

People

佐藤 尚之 氏(右)
コミュニケーション・ディレクター。(株)ツナグ代表。(株)4th代表。復興庁復興推進参与。一般社団法人助けあいジャパン代表理事。大阪芸術大学客員教授。1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・ディレクターとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。
2011年に独立し(株)ツナグ設立。「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。
本名での著書に、「ファンベース」(ちくま新書)(最新刊)、「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(光文社文庫)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足!」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などがある。

佐渡島 庸平 氏(左)
(株)コルク代表。1979年生まれ。東京大学文学部を卒業後、2002年に講談社に入社。週刊モーニング編集部にて、 『バガボンド』(井上雄彦)、 『ドラゴン桜』(三田紀房)、『働きマン』(安野モヨコ)、 『宇宙兄弟』(小山宙哉)、 『モダンタイムス』(伊坂幸太郎)、『16歳の教科書』など数多くのヒット作を編集。インターネット時代に合わせた作家・作品・読者のカタチをつくるため、2012年に講談社を退社し、コルクを創業。同社がエージェントを務める羽賀翔一が作画を担当した「君たちはどう生きるか」の漫画版が大ヒット。従来のビジネスモデルが崩壊している中で、コミュニティに可能性を感じ、コルクラボというオンラインサロンを主宰。編集者という仕事をアップデートし続けている。著書としては「ぼくらの仮説が世界をつくる」、「WE ARE LONELY,BUT NOT ALONE.」などがある。

テクニックではなくファン寄りに

佐渡島

さらに他にはまだ何か『ファンベース』を出しての気付きみたいなのありますか?

佐藤

みなさん割とテクニックが好きなので、さっき「共感」「愛着」「信頼」って言いましたけど、アップグレード版のように「熱狂」「無二」「応援」みたいな、要するに熱狂、共感から熱狂的にファンにする。愛着をどんどん強めていって唯一無二の存在にする。それから信頼を強めていくことによって応援される存在になるみたいな所までやっていくんです。

今テクニック化されていることをすぐにやろうとしますよね。いや、その前にやる事いっぱいあるんですけど。まずツボを知って、もう少しコンテンツを最初からファン寄りに切り口変えて作ったりする方がずっと大事だったりするんですけど、何か表面上のやりやすいやつ、あと上司とかに報告しやすいやつの方向ばっかりいく場合が多いなっていうのが気付きですかね。

佐渡島

そうですね、ただ僕も結構ファンコミュニティっていうかファンベースみたいな事を考え出すと、相手のツボを知るとなると限りなく結局人間力を上げるみたいな。何て言うんですかね、自分の妻のツボを知るのにも苦労してるのに、ファンのツボを知るのはホント難しいなって。

佐藤

本当に難しいと思いますし、聞く側とか受け取る側の、こっち側の人間性も問われるのでなかなかですよね。だからトライしないし、有形化出来ないんで、みんなそこにもっと分かりやすいアンバサダープログラムみたいな、なんかそういうのないんですか?みたいな感じにどうしてもいきますけど、ホントにそこをサボっていくんであればファンベースやめたほうが良い。汗かいたほうが良いし、手離れは悪くしたほうが良いし、手をかける、時間をかけるとか、そちら側のオペレーションだと思うんですよ。

ただ、広告とか編集とか手離れがいい、手を掛けないですぐできて、すぐ打ち上げ出来るみたいな方向ばっかりやってきたし、そこが得意な人が揃ってるので、要するに花火打ち上げておしまいみたいな。バーッと売れればもうOKみたいなそういう人達が性格的にちょっと多い気がするので、そうでもない人達が担当した方が良いんでしょうね。

凄い地道にちゃんと繰り返しそういう付き合いを深めていけるタイプの人だったりすると、そこは普通に出来るんですけど。まあそういうもんですよねみたいな。長年かけてこうやって関係つくりますもんね、みたいな所が分かってるタイプの人がもっと前面に出て来ればいいのかも知れないね、環境として。

佐渡島

僕は先ほどのファンの人たちが結局言語化が得意じゃないからって仰ってたじゃないですか?それで僕なんかはファンの声を聞くんじゃなくて、自分自体がコンテンツだったり、物だったりの圧倒的なファンになる練習をするんですよ。自分自体が。

佐藤

それは素晴らしいと思います。

佐渡島

それで自分自体がファンになる練習をした後に、どこがツボだったんだろうと、何がファンになったんだろうっていう風にして、自分と結局は同じファンがいるんじゃないかなっていう感じで毎回施策を打つんですよね。僕の場合はそういうやり方なんですけど。

佐藤

それ素晴らしいと思います。ただ商品によっては、奥が深すぎる商品もあって、例えば鉄道だとするとてっちゃんの世界に簡単にいけないじゃないですか。「鉄のあそこのつり革のネジがこうだ」っていう話になってくるので、そこには簡単にいけないですよね。商品のジャンルによるかもしれませんね。

ただ昔から広告の担当者はみんなまず商品のファンになって商品が好きになってから考えようみたいな事が徹底された時代もあったんですけど、それは正しいアプローチだとは思いますね。当たり前っていえば当たり前なんですけどね。

佐渡島

そう考えると、さっきの人間力と同じで何かを凄く愛する事っていうのが、対人間もそうだし対物もそうで、それがそもそも難しいですよね。

佐藤

難しい。編集やってて自分が担当になった作品をちょっと愛しきれないなかったっていうことはどれくらいあるんですか?

佐渡島

僕の場合、会社に入ったばかりの時はちょっとそれがあったんですよ。担当している作家さんで起こり得たんですけど、それが嫌で1年目に立ち上げたのがドラゴン桜で、途中で、それをヒットさせたら絶対自分が好きな人以外やらなくて済むっていう答えを会社で作れるっていう風に思って、講談社にいる間はある種圧倒的に愛着のある人以外はやらなかったです。講談社の中で偉くなると、結局雑誌とかやると自分の愛着がない作家も載せていかなければいけなくなるじゃないですか。それが嫌でエージェントをやろうと。エージェントをやると結局愛着がある人とだけやることになるんで。

佐藤

愛するという事に誠実にやっていくために会社を辞めたと?

佐渡島

限りなくそうですね。メディアっていうのはそうじゃないと思ったんで。

佐藤

でも例えば、平野啓一郎さんを愛してる。素晴らしい作品を出した。でも「ある男」が、そんなに気に入らないとするじゃないですか?そういう場合はどうするんですか?次作がちょっと愛せないとか、編集者だから多少中に入れると思いますけど。

佐渡島

平野さんの場合はもう僕8年くらい付き合ってるんですけど、原稿をやってる時に『空白を満たしなさい』の時とかそうなんですけど、原稿上がってきて僕がそういう風に今回は楽しめないと思ったら言うんですよ。「今回楽しめない」って言って、まあ週刊連載なので夜の11時とか12時くらいから直しを始めるんですよ。

1時とか2時になると「これ以上直せと言われるともう続けられない」って。そこまで言うなら続けては欲しいから今回はこれで良しとしますみたいな。それの凄い繰り返しを何度かやっていて、もう『マチネ』の終わりの頃位から100%満足してないものは載ることがなくなりましたね。8年くらい前に平野さんが打ち合わせが上手くなりたいと。結局歳を取ると誰も意見を言わなくなるから、それを聞けるようになりたいっていうので、一緒にやろうって言ってくれて。かなり僕以外の人の意見もいっぱい聞くんですよ。それで完全に自分で取捨選択してくれるんですよ。こっちの意見を取り入れるかどうかを含めて。

だからこっちは放言できるというか、言った事に対してその通りじゃなくても必ず解決してくれるんですね。だから『マチネの終わりに』今回の『ある男』っていうのはもう完全に出来上がったものに関しては、凄い尊敬の念を持ってるんですよね。

佐藤

しかも自分の子供感も編集としてもあるんですよね?

作家としてありますけど同じくらいのところまで関与出来てるということですね。

佐渡島

そうですね。

佐藤

それは愛せますよね。今その距離感っていうかその感じをずっと保ったまま今も出来てる感じですか?

佐渡島

そうですね。

佐藤

それは素晴らしい。愛せる事ばっかりじゃないですもんね。

佐渡島

そうですね。でも愛するのが難しいから愛するためのきっかけみたいなのをどういう風にして入れていくのかという工夫は結構必要ですよね。

佐藤

きっかけを入れる?

佐渡島

はい。何て言うんですかね、例えば打ち合わせの時とかにやっぱり自分の感情をしっかり喋ってきますよね。他人事としてこの作品がどうやったら良くなるかっていうよりも、今回のを読んで僕の感情がこういう風に揺さぶられましたとか。途中経過を言っていくと限りなくその感情に答えようとしてやってくれるので。

だから『マチネの終わりに』は平野さんはあの二人の主人公を完全に離れ離れにさせるつもりだったんですよ。

佐藤

あ、最後会わないんだ。

佐渡島

会わないっていうか、片方が事故死してしまうとか、そういう設定で考えてたんですよ。でも、ここまで読んでると、それ悲し過ぎるから違う設定にしません?っていう。

限りなくこっちは読みながらくっついて欲しくてたまらなくなってるんですけどみたいな。そういうリクエストでその上でじゃ楽しませようみたいな感じなってくるんで。

佐藤

向こうの懐も相当深いんですね。あと信頼関係もね。

佐渡島

このやり方が限りなく面白いですね。

佐藤

逆に、なかなかクライアントワークは難しい事もあるかも知れませんね。担当者が代わったりとかね、よくするんですよね。ファンベースが上手くいかないのはだいたい担当者の異動ですね。

凄いよく分かり合えてここまで一緒にやってきたのに、「すみません4月で異動です」みたいな。もう本当に絶望的になりますけどね。

佐渡島

そこがもったいないですよね。

 

ファンベース的プロフェッショナル職の定義

佐藤

ジェネラリストを作っていくっていう流れが、やっぱり会社員がある種歯車的に動いたほうが世の中的に良かった時代から、今その時代の流れが残っていて、どっかでジェネラリスト、色んな所の部署を経験していくっていうのありますよね。それはファンベースの中で本当にちゃんと生活者とかファンに向き合える人っていうのはある種の才能なんで本当に変わっちゃいけないんですけど、勿体ない事がよくありますよね。

佐渡島

凄い才能であり、想像力だと思うんですけど、そういうタイプの想像力がある人というのが、職種として定義されていないと、そのプロフェッショナル職として残っていくのが凄く難しいですよね。

佐藤

SNSの中の人とかも、完璧にあれはもう才能だと思うんです。距離感が分かり、どのくらい甘えるとか、出し入れしながら探っていくんですけど、探り方もやっぱりかなり才能だったり適正だったりするんですけど、アルバイトレベルにやらせたり、もしくはそういう人達がちゃんとできてるのに異動しちゃったりとかして、本当によく見てると悲惨な感じがしますね。ああいう才能はタレントに1,000万円かけるのであれば、その人に1,000万かけたほうがいい。そのぐらい重要なことだと思いますけどね。

佐渡島

SNSの中の人の絶妙さはホント凄いですよね。あれはホントに難しい。公式人格で。

佐藤

難しいです。何か僕の中で一番そこに近い感じのイメージは、いわゆるファンベース的SNSの中の人を見る時はやっぱり「愛着」なんですよ。みなさんSNS担当者を拡散要員と思ってる人が多くて。「これ、今度イベントありますよ。SNSで拡散してください」みたいな。でも本当は違ってて、一番近いイメージは商店街の八百屋の兄ちゃん。「いらっしゃい、いらっしゃい」って言いながら、「おはようございます!奥さん今日もお綺麗で」みたいな話を、くだらないんですけど毎日のように話しかけて少しずつこのお兄ちゃんに愛着を持ったり、たまにはこっちの八百屋で買おうかしらみたいに思ったりとか。文脈がだんだん出来てくるみたいな事を毎日絶妙な距離感でやっているのが彼らの一つのカタチなのかなと思いますね。

文脈が出来ると、これとこれで迷った時にやっぱりこっちを買うとか。割とそういう風に出来ていくんですよね。要するに文脈なんです。友人を介する文脈みたいな「共感」なので。そこらへんちゃんと作っているのがSNSだったりするんですよね。

佐渡島

それって仕事の仕方にも通じるなと思っていて、多くの人って会社名と役職で仕事をするじゃないですか?そうじゃなくて相手と自分との人間関係の文脈の中をどういう風にして更新していくのかっていうようなカタチでメールを出したりするとスムーズにいくのにと思います。四角四面な役職としてで、自分を後ろに隠しちゃった一番共感されないのがポジショントークなんで。

佐藤

一番共感されないのがポジショントークなんで、役職的なポジショントークはどうやっても共感しない。個人の関係している更新っていうイメージが少しでも入っていたら全然違うんですけどね。

佐渡島

そうですよね。関係性を更新しようとすると文脈がどんどん出来ていくから。

佐藤

もう離れられない関係に。まあある程度の閾値を超えるとうるさくなりますけどね。

佐渡島

だから名刺交換をいっぱいすることを人脈と思ってる人と、文脈を重ねっていった人がいっぱい出来る事を人脈と思うかどうか。文脈がないと人脈じゃないというか。

佐藤

その通りだと思います。名刺交換とかいわゆる拡散と一緒ですけど、そういうのって本当に、結局長続きしなんですね。本当に意味ないんですよね。みなさんお好きですよね。まあそういうのが正しいんだっていう風潮が10年前くらいから割とあったので、今ちょっと見直されてきてるかなっていう気がしますけど。

佐渡島

もう一回クローズドコミュニティとか言われたりしてますからね。

佐藤

スモールグループ、クローズドコミュニティとか小っちゃいつながりとかっていう方向が少しずつ言われてるんですよね。でもそれってこうするよりないなっていう方向にみんな量で語りがちですけど、文脈が作れることによって深さと、逆にもっと量に出るんですけどね。

佐渡島

なるほど。ホント文脈作りが全てだっていうのがファンベースの本質ですね。

佐藤

コンテキストって言っちゃうと普通の言葉になっちゃうんですけど、そこの感情を作っていく一番の方法かな。

佐渡島

なんかコンテキストが重要だって所に感情を作るためには文脈が重要だっていうと非常に理解が出来ますね。

 

文脈づくりのコツは自分をどう出すか

佐渡島

せっかくですので、何か質問はありますか?

男性

感情を作るために文脈を作っていくっていう話の中で、意識して出来る部分と人間力的な無意識のうちに持ち合わせているもので出来る部分がある中で、今まで意識せずにやってきた人が、やれるようになるために工夫できることは何かありますでしょうか。

テクニックがないにしても、今日この話を聞いてそういう事が大切だと理解した人が、まずこんなことからやってみるとできるようになるかも、もしくはこんな事やってなかった会社がこんなことに気をつけるとやれるうようになるかもという事が何かあれば教えてください。

佐藤

自分をどう出すかの方が大事ですかね。自分を開かないと相手は開かないっていう風に思いますので。自分の文脈とか自分の考え方をどのくらい明らかにするか、そこは凄く大事かなという気がします。

僕は個人サイトをやってきて、美味しいものとかいっぱい出してきたのですが、美味しいものだけ出していても、人は文脈をもって僕に寄ってこないんですよ。

美味しいものに詳しい人、レストランに詳しい人なので、レストランしか詳しくないかも知れない。そうすると人はそんなに信用しないし、何か向こうも文脈を出しにくいんです。

僕はレストランの何百店と色んなレビューを出しながら、自分が好きな本、全批評出し、自分の好きなCD、映画とか全部レビューを出して、自分はどんな人間でそういう映画が好きな人間がこのレストランが好きなんだとかっていう文脈を明らかにしたらば、急に色んな人が自分の文脈でこのレストランがコウコウコウでって来だしたっていうのが自分の経験としてあります。

だからなるべく自分がどういう風な考え方で構成されているかっていう事を、相手に見せる、開示するっていう事が割と初期にやるべきことかなと思います。そうじゃないと文脈ださせないというか、全然知らない人に入っていけないじゃないですか。だからそこは意外と大事かなという気がします。

佐渡島

僕もほぼ同じ意見なんですけど、感情を入れるかどうかで、感情的になるっていう事ではないんですけど、結構ほとんどの人のメールが定型文だけで出来てる事が凄くあるので、それに対して自分がどう思ったかって事、結構些細な事でも入れておくっていうのが重要だと思いますね。

僕は結構他人にメールを書いたり返したりとかする時に、この人には僕は感情を出さずにお礼だけ言いたいって今思ってるんだなって思いながら丁寧な文章を書いてる時ありますからね。自分の持ってる感情に対して意識的であるっていうのが、感情のやりとりが文脈を作っていくんだなって思いますけどね。人間同士だと。

佐藤

その通りですね。「今日は気持ちいい日ですね」とかってメールの頭に書くとするじゃないですか?それは全然文脈を持たなくて、「今日は凄く気持ちいい日で裸になりたいです」ってまで自分のことを書くと急に文脈が出てくるというか。

でも自分を一般論とかポジショントークではなくて、どれくらい個人を出すかっていうのはやっぱり大きいんじゃないですかね。

佐渡島

僕が作家の人と仲良くなる時とかは、色んな生活をしている中で、その作品の事だったり、次の新作の事などを思い出したりするので、そのタイミングで連絡を取るんですよ。今これを見ているとあなたのこの作品を思い出して、そこが凄い好きだっていう風に思ってるから、今やってる作品のこういう感情になるシーンを入れたいと思います、みたいなメールを送ったりとか。

佐藤

僕もそういうメッセージ、よく使います。

「銀座を歩いていたら思い出しました」とか、気持ち悪いけど。何かそういうのって凄い効きますよね。そういうところを突くんですよ。テクニックじゃないんですよ。分脈なんですよね。

佐渡島

感情が動いた時ですよね。

 

新規よりもファンベース

佐藤

こういうEC系や個人のお店の集まりみたいな巨大な集まりで講演とか2〜3回やったことがあるんですけど、やっぱり新規のお客様の動向ばっかりですね。不安で不安でしょうがなくて新規のお客様にとにかく広めたい、多くしたいっていう方向にいっていて、ファンベース的なことを今買ってくれている、凄くいっぱい買ってくれてる人にやるのが正しい気もするんですけど、勇気がないっていう人が非常に多いですね。

どうしてもそこにお金を使えないし、予算もないっていう話になるとどうしても新規新規ってなるんですけど、どうも色んな例をいっぱい聞いていくと、やっぱりファンのところをちゃんと固めていくっていうことを色んな所で聞くので、実質面でもそっちの方が正しいんですね。なので、自信を持ってちゃんとシフトした方が良いんじゃないかなっていうのは思っていますね。

佐渡島

今あるものが、続くことってほぼほぼ無いと言うか、5年後10年後とかに続いてる事ってほぼ無いから続かないのが物のことわりというか、その法則なのに認知の誤謬で、今ある事がそのまま続くっていう誤謬が常に起きるので、だから目の前の人はずっと目の前にいるっていうのは、認知の誤謬として見ちゃうんですよね。それをどう正すかそれが一番難しいなって思いますよね。

佐藤

結婚生活なんかも最たるものですよね。誤謬ですよね。でも友人もそうですよね。メンテナンスしていかないとやっぱりだんだん離れていくわけで。

佐渡島

数十年単位で友人である事ってなかなか難しいですね。

佐藤

今、数十年前の友人とFacebookでもう一回繋がってもう一回復活したりしますけど、でもやっぱりなかなか続いてないですね。

価値観も変わるし住んでいる世界も違うってなってくるので。そこをちゃんとやってくっていうのは凄く大事で、まあ当たり前の話なんですけど、やっぱり一周まわってそこなんだなっていう確証が最近強くなってますね。

佐渡島

だから僕はそういう所を結構続かないっていう前提で考えて、本当に続けたいなと思うと、例えば何人かのグループとかで幹事を決めてしまったりとかして。今楽しいからって毎月会うと2年くらいしか会わなくなっちゃうんで。

年に2回とかで会うという風に決めてて、今そういう意味で言うと井上雄彦さんとツジトモさんと小山宙哉っていうのがみんな僕が担当っていう共通点があって、それでだいたいに年に1〜2回だけ真ん中か年末かに食事をするって決めて、しかも僕が幹事って決まってて。結構何年間もずっと会い続けてるんですけど。

佐藤

そういう距離感って大事ですよね。

ソニーのα(アルファ)というカメラで、購入時点からその後メールを送るんですって。それでパーチェイス3って言うらしいんですけど3か月に3通くらい送るって言うんです。

1か月に1通じゃなくて3か月に3通なんですか?って言ったら、3か月に3通くらいでちょうどいいんですって。なんか微妙な事言うんですけど、いや1か月に1通でいいじゃんって思ったんですけど、そういう良い距離感っていうのがだんだん知験の中で分かってきたっていうような事を担当の人が言ってましたね。

佐渡島

そうですよね。だから急速に距離が縮みすぎると、ダメなんですよね。

佐藤

ダメなんですよ。だから本にも書いてたじゃないですか。僕も実践してますけど、熱狂を作っちゃダメみたいな。濃い時間を作ると必ず冷めるので。

今もコミュニティを自分でもやっていますけど、濃くなりすぎるとちょっと発言をやめてなるべく遠くにもってったりしないと、盛り上がりすぎちゃうんですよね。

この前僕はコミュニティを引っ越したんですけど、引っ越した時も盛り上がり過ぎちゃう臭いがあったので、盛り下げるっていう。どうやって盛り下げようかって割と苦心したんですけど。そういう距離とか凄い大事ですよね、熱狂を作るのに。

佐渡島

盛り下げる時って怖いじゃないですか。

佐藤

怖いです、怖いです。みんな離れるんじゃないかってちょっと思います。

佐渡島

そうですよね。それをきっかけに。

こっちとしてはそのコミュニティが長期間楽しくあるためにやっている行為なんだけど、一部の人は僕らがコミュニティを大切にしてないっていう行為としてみなしちゃったり。

佐藤

ちょっとサボってんじゃないのぐらいの感じで。そこまでは言われなかったですけどでも何か怖いですよね。けど盛り上がるのも怖いですよね。絶対冷めるから。祭りの後みたいになっちゃうところがあるんで。

でもいわゆるファンとかファンコミュニティとか、これからコミュニティ化って凄い大事になると思いますけど、必ず一回自分でやってみた方が良くないですかね?

佐渡島

そうですね。

佐藤

距離感とかそういった肌感覚って自分でやらないとホントわからないこといっぱいあると思うので。僕今3年やってますしね。

佐渡島

僕は2年ですね。

佐藤

それくらい自分でやってみると凄く良いですね。もしコミュニティをやられる方がいたらいいと思うし、逆にコミュニティマネージャーって名乗ってる人の中でもそれなりのコミュニティをやってない人も意外といるんで。自分でやられることをお勧めしますけどね。

佐渡島

宇宙飛行士の訓練でも、常にリーダシップ訓練と、フォロアーシップ訓練を両方やるんですよ。両方やるっていうか、多くの人がフォロアーシップは慣れてるんですけど、実はリーダシップをやったことがない人って、リーダーにとってどういうのがフォロアーシップとして気持ちいいかが分からないから本当のフォローアップがなかったりして。

佐藤

リーダーシップっていうのは学ぼうと思えば本もありますけど、フォロワーシップの本って意外とないんですよね。フォロワーシップって凄い大事なんですけど。逆にこれからの時代フォロワーシップだって哲学者が言ったりしますけど、凄いそこらへんの感覚も大事ですよね。

佐渡島

そうなんですよね。

だからコミュニティにもコミュニティに参加して自分の居場所を確保しようと思うと、コミュニティに適度な貢献が必要なんですけど、そのコミュニティマネージャーをやったことがないと、何が適度な貢献なのかがわかんないんですよね。

佐藤

あとはコミュニティの場合は貢献ってちょっと難しくて、僕の場合は今来れないんであれば、当分5年後に来ればいいってちょっと思う所あるんで、貢献しないけどいい距離感って凄くあって、そこをどのくらい許容できるかって自分を試すことになるんですけど、その辺で周りにいる人達のちょっとざわめきな感じ位の距離感の人達ってすごい重要じゃないですか?

佐渡島

重要ですね。

佐藤

この真ん中で動いてきた価値だけじゃなくって。要はニッパチなんですけど8割がだいたいそんなに動かない。そこの重要性を凄く感じますね。

佐渡島

先ほどのファンコミュニティで仰っていた、ファンベースで言うと一対一で知ってるっていう事じゃなく、必ずしもみっちり毎日顔合わせてないそういう関係性で、本質的な芯にある価値観を理解してくれてるっていう状態で遠くにいるとかっていうのが重要ですね。

佐藤

それがすごく重要な気がしているんですよね。コミュニティの有り様論。

佐渡島

そうですよね。だからずっと距離が近くないとダメっていうのってお互いに苦しいなって思って。

佐藤

いわゆる同調圧力になっちゃうんですよね。同調圧力をコミュニティで管理しちゃうと厳しいですね。そこはない風にしていくものが大事ですね。

佐渡島

それをどう作るかっていうのがね、結構そこのファシリテーションの仕方って、、

佐藤

微妙ですよね。

佐渡島

そうですよね。まだそっちは体系化されてないですよね。

佐藤

今からします!

佐渡島

僕はもうそれを楽しみにしてます。

佐藤

なるべく頑張ってしていこうと思ってます。

佐渡島

僕はもうホントちょうどそういうコミュニティの体系化の本がなくて、大変だなと思って、、

佐藤

でもあれ体系化されてると思いますよ。この前の本。(WE ARE LONELY,BUT NOT ALONE.)

佐渡島

ああそうですね。でもあれ書く時には書いてる途中で『ファンベース』出て、むっちゃもろ被りだって思って、かなり目標を変えたというか(笑)

佐藤

すみません。

佐渡島

いえいえ、逆に凄く勉強になって、『ファンベース』を読んでもう一回書き直したから、思考が進められて逆に良かったんですよ。短時間で。今日はそれでじっくり聞けて良かったです。

佐藤

いえいえ感謝です。ありがとうございます。

佐渡島

ありがとうございます。皆さんありがとうございました。

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